アメリカ政府がUFOファイルを公開-162件の機密解除資料が示すもの
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2026年5月8日、アメリカ国防総省(Department of War)は、UFO・UAP関連の機密解除文書162件を政府の公式ドメイン「war.gov/UFO」で一般公開した。機密取扱資格は不要で、誰でも今すぐ閲覧できる史上最大規模の政府UFO資料開示だ。
ただ、この公開は突然起きたわけではない。
2026年2月、トランプ大統領がSNS「Truth Social」に「地球外生命体、UAP、UFOに関する政府ファイルの公開プロセスを開始するよう指示する」と投稿したことが直接のきっかけだ。それを受けて国防総省と国家情報長官室(ODNI)が省庁横断プログラム「PURSUE(Presidential Unsealing and Reporting System for UAP Encounters)」を立ち上げ、数週間ごとに資料を追加公開する体制を整えた。
5月22日にはすでに第2弾となる64件の資料が追加されており、動きは速い。
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公開された資料の中身
第1弾となる162件の内訳は、PDF文書120件、動画28本、画像14点だ。
出所はFBI、国防総省、NASA、国務省など複数の省庁にまたがり、動画の合計尺は約41分。2020年から2026年にかけて世界各地で撮影された映像が含まれている。
また、文書の年代幅も広い。1947年から1968年にかけての「目撃証言・市民通報」をまとめたFBIの大部ファイルから、2026年1月撮影とされる最新映像まで、約80年間の記録が対象となっている。
では、具体的にどんな映像が注目を集めているのか。
1969年のアポロ12号着陸時に月面上から撮影された写真では、月面上空に複数の物体のようなものが写っているとされる。NASAはこれを「アポロ17号・1972年」のアーカイブ映像として分類して公開しており、黄色い枠で拡大部分が示されている。
それだけではない。2024年、米インド太平洋軍(INDOPACOM)が日本近海でフットボール型に似た形状のUAPを報告した映像も収録されており、台湾海峡・南シナ海周辺の米軍監視エリアと重なる海域での記録だ。
さらに、米北方軍が赤外線センサーで撮影した21秒の映像では、発熱を伴う不明物体が確認できる。90度の急激な方向転換、追跡ヘリを引き離す速度、瞬間的な出現と消滅——こうした挙動が複数の映像に記録されており、既存の航空力学では説明が難しいと専門家から指摘されている。
政府が公開した意図をどう読むか
国防総省は今回の公開について「完全な透明性」を掲げている。
しかし同時に、「地球外生命体の存在を確認するものではない」とも明確に釘を刺している。公開された映像や文書には既知の航空機や気球との混同例、センサーエラーとされる事例も含まれており、すべてが「説明不能」なわけではない。
では、なぜこのタイミングで公開したのか。
トランプ政権が透明性を打ち出した背景には、複数の要因が絡んでいるという見方がある。2023年の議会公聴会でUAP問題が政治的な注目を集めたこと、機密解除によって国民の政府不信を和らげようとする意図、そして情報開示を段階的にコントロールすることで「先手を打つ」狙いがあるという指摘だ。
それこそが、今回の公開の本質かもしれない。
国防総省はX(旧Twitter)に「米国民は今や、機密解除された連邦政府のUAP文書に即座にアクセスできる」と投稿し、さらに民間・学術分野からのデータ分析への協力を公式に募集している。政府自身がデータの解釈を外部に委ねるという姿勢は、これまでの秘密主義とは一線を画するものといえる。
war.gov/UFOのサイトはすでに10億回を超えるアクセスを記録しており、世界規模での関心の高さは数字が如実に示している。
安全保障上の問題として浮上するUAP
UFO・UAPがエンターテインメント的な話題にとどまらず、安全保障の文脈で語られるようになったのは比較的近年のことだ。
2004年の米空母ニミッツ随伴艦による「チックタック」映像、2020年に国防総省が正式に認定した複数の赤外線映像——こうした事例が積み重なるなかで、議会は2021年以降、UAP問題を国防権限法に盛り込んで継続的に報告を求めるようになった。というのも、映像に記録された物体の挙動が、既存の軍事技術の想定をはるかに超えているからだ。
今回公開された資料でも、専門家から「既存の軍事技術では迎撃・追跡・防御する手段が存在しない動作特性を持つ物体が記録されている」という指摘が出ている。
日本近海での記録は、日米の防空・迎撃体制が想定していない挙動のオブジェクトへの対処という共通課題を浮き彫りにするという見方もある。
しかし現時点では「未確認」であることが前提だ。それが敵国の兵器なのか、自然現象なのか、観測誤差なのか、あるいはまったく別の何かなのかは、まだ判断が保留されている。
今後の展開
PURSUEプログラムは今後も数週間ごとに資料を追加公開する方針で、第2弾はすでに5月22日に公開済みだ。
51本の動画、6件のPDF、7件の音声記録が含まれており、1940年代から続く冷戦期の記録や、イラン上空での4機編隊映像、シリアでの「瞬時加速」事例なども含まれているという。
今後の焦点となりそうなのは、公開された資料が学術・科学コミュニティによってどう分析されるかという点だ。国防総省が民間への協力を公式に求めている以上、これまで非公開だったデータが研究対象となり、物理学・航空工学・センサー工学など複数の分野での検討が進む可能性がある。
ただし、今回公開された文書の多くはすでに部分的な黒塗りが施されており、完全な情報開示には至っていない。「透明性」を掲げながらも、どこまで開示するかは政府が引き続きコントロールしている形だ。それこそが、この問題の難しさでもある。
UFO問題が「オカルト」から「政府の公式議題」へと移行しつつある現在、次の資料公開が何を示すのか——その推移は、引き続き注目に値する。
まとめ
2026年5月8日、アメリカ国防総省は162件のUAP関連機密解除文書をwar.gov/UFOで一般公開した。月面写真から日本近海の映像まで、数十年にわたる記録が初めて開示されたことになる。トランプ政権の指示のもとPURSUEプログラムとして始まった今回の開示は、今後も継続される予定だ。
政府は地球外生命体の存在を確認するものではないと明言しつつも、既存の物理法則では説明が難しい挙動を示すオブジェクトの存在を否定してもいない。「未確認」という状態が公式に認められたことの意味は、今後の研究と資料公開の蓄積のなかで、少しずつ明らかになっていくだろう。
参考資料
CNN日本語版「米国防総省、機密解除されたUFO資料の第1弾公開」(2026年5月9日)
ABC News 「Pentagon releases declassified UFO files from various federal agencies」(2026年5月8日)
CNN 「Pentagon releases initial batch of declassified files detailing UFOs」(2026年5月8日)
jasperbernaers.com 「Pentagon UFO Files 2026: Inside the PURSUE Declassification」
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